言葉を育むちょっとした工夫
言葉がけをすることで一緒にいることが楽しめるようになります。
発達には個人差があることを忘れてはいけません。これは言葉だけではなく、歩く、走る、ジャンプするなどの身体の発達も一緒です。まずは、子どもの今の発達を見守ることが第一です。
子どもが1歳半から2歳ごろになると「うちの子言葉が遅いんです」とセンターに来所する保護者から〝言葉の悩み〟についてよく相談を受けます。センターには同じ月齢の子ども達が来ているので、自分の子と他の子を比べてしまい、同じ月齢なのによくしゃべる子を見ると不安になってしまう方が多いようです。
子どもの言葉でアドバイスするときに私が重視しているポイントは「大人の言葉を理解しているか?」ということです。「○○ちゃん」と呼び掛けたときの反応や日常の会話を理解しているかどうかということ。言葉が出ないとしても、「言葉の理解はできているから、もうしばらく見守ってみてはどうでしょうか」と保護者に伝えることが多くあります。
▪言葉を育むちょっとした工夫
①赤ちゃんの動きをまねてみる
赤ちゃんは自分と同じ動きをしてくれるおとなに興味を持ちます。
②赤ちゃんの出す声や音をまねてみる
赤ちゃんが機嫌が良い時に出す「ブーブー」といった声を真似してあげることで、音を出すことを楽しむようになります。
③赤ちゃんの気持ちを言葉で言ってあげる
赤ちゃんの気持ちを代弁してみましょう。おむつを替えたら「気持ち良くなったね」と言ってあげましょう。
④大人が自分の気持ちを口にする
「きれいだね」「ごはんおいしかったね」と自分の気持ちを言葉にあらわす。
⑤赤ちゃんの言葉をさりげなく直す。
「~ます」と言ったら「えらいね。いただきますって言おうとしたんだね」と赤ちゃんが言いたいことを正しい発音に直してあげましょう。
⑥子どもの言葉に少しだけ補足する
車を見て「ブーブー」と言ったら、「大きいブーブーだね。走るのが速いね」と少し補足してあげましょう。
言葉の発達は、まずは親が焦らず対応することです。普段一緒に過ごす中で、絵本を読んだり歌を歌ったり、言葉がけができる場面を増やすことが大切です。
子ども家庭支援センターさくら 家庭支援専門相談員 水野 真弓
~健康コラム~『花粉症』
花粉症は特定の時期に起こる季節性のアレルギー性鼻炎です。原因となる植物は人によって異なり、発症時期も変わります。アレルギー対策の基本は「原因となる物質にふれない」ことです。花粉症と診断された場合はもちろん、発症前でも花粉にふれる時間をできるだけ減らすことが予防につながります。日常的にできることを知り、リスクを軽減させてあげたいものですね。
●花粉症対策について
・外遊びは午前にする
・外出のときは、つばのついた帽子をかぶる
・外出後は衣服をはらい、うがいをする習慣をつける
・布団や洗濯物を取り込むときはよくはたく
幼児期は日常的な予防が大きな役割を担っています。
純粋な心と笑顔にふれるために ふれあい
ダウン症ってなに?②~自分らしく生きていくために~
感受性や社交性の豊かさを活かして画家や演奏家、プロの書家やダンサーになる方など、さまざまな分野で活躍する人が増えています。
ダウン症候群(以下ダウン症)の出生頻度は千人に一人の割合です。日本では一年間に約千百人が生まれており、妊婦の高齢化は進んでいますが、出生前診断の普及によって割合は横ばい傾向にあると言われています。
前号に書かれている通りダウン症には特徴があり、得意なこと、苦手なことがあります。また、発達は、運動・知能・言葉・社会性など全般においてゆっくりではありますが、一人ひとりの個性を見極めながら丁寧な対応をすることで、得意な分野の能力をさらに伸ばすことができます。小さな頃から療育やサポートを受けることも大切なポイントです。
人懐っこい性格と言われる一方で、頑固と言われることもあります。これは、場面の切り替えが苦手だったり、理解した言葉と伝えたい言葉のギャップ等複合的な理由によるものだと言われています。甘やかされて育てられた結果ではなく、自分で制御することの困難さや生活経験・環境要因の影響もあるため、個人差がかなりあるのです。しかし、支援する上では共通しています。言葉の理解が苦手な方が多いので、身振りや文字・絵などを活用してゆっくり・はっきりとわかりやすく伝えること。得意なことを見極めながら、小さなことでも「できた」ことに気づき、たくさんほめることが大切です。
それでもできないことは多くあるかもしれません。しかし、どんな人でもできないこと、苦手なことは必ずあります。子どもの頃は、そのできないことに対して優劣をつけられるかもしれません。そんな時には、優劣ではなく生まれ持った「違い」を説明してあげてください。
人の価値は能力で決まるものではありません。自分らしく生きることが幸せにつながるのではないでしょうか。
授産所高浜安立 グループリーダー(生活支援員) 石本 麻美
いつまでも穏やかな日々を送るために よりそい
認知症予防・改善効果がある回想法
~思い出話に花を咲かせましょう~
皆さんは同窓会に参加していますか?友人と懐かしい話をしていると、楽しい気持ちになりますよね。過去の話でも印象に残っていることはよく覚えているものです。実は認知症の方も同じで、認知症になると物忘れというイメージがありますが、ご自身の若い頃の記憶は比較的覚えていることが多いと言われています。
▪ 回想法を活かして閉じこもり高齢者を支援
回想法は過去の懐かしい思い出を語り合ったり、誰かに話すことで脳が刺激され、精神状態を安定させる効果があります。特に認知症高齢者は思い出を回想することで自分の人生の価値を再発見し、当時の記憶がよみがえって情動が活性化することが期待されています。コミュニケーションをとる行為が記憶を維持し、認知症の進行を遅らせることにつながります。その結果、孤独感や不安を減少させ、意欲を向上させることができるとされています。こうした回想法の有効性は国立長寿医療研究センターで検証され、回想法を実行した人は、やらなかった人に比べて認知機能が改善したという結果も出ています。
愛知県高浜市の特別養護老人ホーム高浜安立荘では、施設入所者に実施しているほか、地域でも閉じこもり高齢者対策として回想法を展開しています。地域に出向く取り組みとして平成25年に、地域の閉じこもり高齢者の介護予防や認知症予防をめざす市民団体「昭和で元気になる会」を設立しました。市内に出向き、多くの高齢者に回想法を体験してもらうことから取り組みはじめ、平成28年からは閉じこもり高齢者宅を訪問して回想法を実施しています。ある高齢者は3カ月の訪問回想法により、今まで日課にしていた外出を再開したという事例もありました。この回想法を通して高齢者が生きがいを感じ、元気になった姿を見ることで大きな効果を実感でき、介護職員や市民メンバーもやりがいを感じられるものとなっています。
特別養護老人ホーム 高浜安立荘 グループリーダー(介護員) 三久 将弘