人のためになる生き方をしましょう

掲載日:2022年12月1日(木)

 法音寺の始祖・杉山辰子先生は大予言者であり大霊能者でありました。一番有名な予言は関東大震災に関するものです。杉山先生は大正10年頃から大震災の来ることを予言されていました。しかし、これを世間に知らせることは法律によって禁じられていました。どうにかしなければと悩んでおられる内に一年二年が経ちました。大正12年の夏、新聞記者を招いて相談をされましたが、皆口をそろえて「この予言を世間に発表することは不可能です」と言います。杉山先生は施すべき術なく、8月16日、帰名されることとなりました。品川駅から(当時の)東京市を仰ぎ見て嘆息され、目前に迫る大震災を予知しながら、未然にこれを防ぐことのできない我が身を嘆かれ、市民にお詫びの遙拝をされて泣く泣く名古屋に帰られたのでした。
 果せるかな、9月1日午前11時58分、未曽有の大震災が首都東京を襲い、市街地は大火災となり、生地獄と化したのです。但し、先年、杉山先生が妙法の守り札を張り廻られた芝区と麻布区の損害の少なかったことは、不幸中の幸いでありました。
 死者は10万人を超え、避難民は次々と他県にのがれ出ました。愛知県も例外ではなく、杉山先生は名古屋駅に仏教感化救済会救済所を設け、毎日炊き出し、味噌汁等のご接待をされました。これは二カ月以上にわたって続けられました。また、名古屋港より米、その他食料品を送り、芝浦から荷揚げして罹災民に配布されました。さらに、死者三万人以上を出した陸軍被服廠跡にバラックの建物を造り、世人の覚醒を促さんとして法華三部経と日蓮聖人の御一代記の書かれた小冊子『世界の鏡』を市民に施されました。

 杉山先生はご自身のことも予言しておられます。大正5、6年頃の本部の講日の折、杉山先生は驚きの発言をされました。
「私はサツキの花の咲く頃、盲目になります。これは一時的なものであると思われますので、しばらくして元通りに見えるようになると思います。これは私の過去世の大きな罪障が、一時盲目になるという軽報で消滅されるものです。ある時〝お前はサツキの花の咲く頃、盲目になるぞ〟と天耳に聞こえました。〝何の因果で盲目になるのですか〟と私がお尋ねしますと〝お前は過去世に弓の名手で、合戦の折、敵の目を射たことがある。これは数百劫の長い間盲目になるはずの罪障であるが、妙法宣布の功徳により現世に軽く受けて消滅するから喜ぶがよい〟と聞こえました。このような悪因で、私はしばらくの間盲目になりますが、お話し申したとおり大難が小難で消滅するのですから、私が目が見えなくなったからといって、決して妙法を疑ってはいけませんぞ」
 果たして、杉山先生の目は、サツキの花の咲く5月頃、全く見えなくなりました。しかし、杉山先生は休むことなく、人に手を引かれて法座や信者さんの教化に出かけられました。そして三カ月程で一人で歩けるようになり、一年半程で元通りに回復されました。
 このお話は前世からの因縁因果を説かれたお話です。もう一つ紹介します。

 東京支部が設立されて間もない頃のことです。子宮外妊娠ですぐに手術をしなければならないが、そのお金もないと困り果てて来られた夫婦に対して、杉山先生は神通力で前世の因果を見抜かれ言われました。
「今、奥さんに宿っている子は仇敵とも言うべき魂を持っています。しかし、妙法はありがたいものです。その仇敵の魂を成仏するようなご供養をして、その魂を去らしめ、有徳の魂と入れ替えることができると思います。妙法によって蘇らせる方法をとられてはいかがですか」
 杉山先生とこの夫婦の積善の結果、月満ちて功徳があらわれ、奥さんは安産で男の子を生むことができたのです。
 これが胎内教育、魂の入れ替えの始まりです。

 このように杉山先生は三世(前世・今世・来世)を透徹して見通されましたが、アメリカにもエドガー・ケイシーという稀代の超能力者がいました。ケイシーは1877年に生まれ、1945年に亡くなっています。ケンタッキー州の貧しい農家の生まれです。21歳の時に喉頭炎になって声が出なくなりました。その時にレインという催眠術師に催眠術をかけてもらって、喉頭炎が治りました。それから不思議なことが起きました。催眠状態に入っている時に病人のことを聞かれると、その病人の肉体の状況を透視し、治療法を明らかにすることができるようになったのです。人はいつしかケイシーのことを「眠れる預言者」と呼ぶようになりました。
 肉体の状況を透視することをフィジカルリーディング(肉体的解読)と言います。もう一つケイシーには人の前世の業(カルマ)を見抜く能力がありました。これをライフリーディング(運命解読)と言います。ある人の前世のことを指摘し、今世でこういう生活をすると、今世の運命が好転する。また来世も良くなるということを言いました。前世の因縁を語るわけですが、これはキリスト教世界では珍しいことだそうです。3万人以上の人がケイシーリーディングを受けています。その記録はヴァージニアビーチというところにあるエドガー・ケイシー啓発協会という所に残っており、いつでも見ることができるそうです。

 一つ有名な話を紹介します。
 アラバマ州のセルマのある少女が精神錯乱状態になり、精神病院に入れられました。どうにかして治したいと思った両親がケイシーのところに相談に来ました。ケイシーはいつものように横になって催眠状態に入りました。両親が少女の名前を言って「精神の状態がおかしいです」と相談すると、ケイシーは透視をして「この女の子の歯茎に親知らずが一本食い込んでいる。それが脳神経を侵している。この歯を抜けば、この子はすぐに正常に戻る」と言いました。その後、歯を抜くとすぐに少女は正常な状態に戻ったということです。
 また遠隔透視もできたといいます。ケイシーは国内はもちろん、アメリカにいながら、国外にいる人のことも透視できたそうです。例えば対象が私だったとすると、「鈴木さん、今日そちらは風が強いですね」とか、「あなたの横には誰々がいて、あなたの病いが治ることを祈っていますね」などと言い当てたといいます。それによってケイシーの透視の真実性が増したということです。
 このようなケイシーの透視能力が次第に知られるようになると金儲けに利用しようという者が現れてきました。「競馬の勝馬を教えてくれ」という者がいました。これは成功もするけれど、失敗もするという結果でした。普通の予想屋と変らない程度でした。そういう時は催眠状態から目覚めた時にとても疲れていたそうです。エネルギーを消耗して、自分自身にとても不快感が残ったそうです。
 また「テキサスで石油事業をやらないか」という話もありました。「油田のありかを透視してくれ」というのです。これは全く良い結果を得られませんでした。結果的にケイシーはこういう透視をすると、不確かであると同時に、すごく疲れることがわかりました。“自分の能力は人を助ける時にだけ、確実に信頼するに足る。金儲けを目的とした時には力を発揮しない”と実感したといいます。
 この話から私は思います。世の中にはお金儲けを一生懸命にする人がいますが、利己的にお金儲けをすることを神仏は喜ばれないのではないでしょうか。
 ケイシーはライフリーディング(運命解読)を自分自身にも行いました。彼は、数百年前はエジプトに住んでいて、神秘的な力を持つ位の高い僧侶だったそうです。しかし、自我が強くて官能的であったため、身の破滅を招いたということです。その後はペルシャに生まれ、内科のお医者さんでした。その時、戦争で負傷して砂漠に置き去りにされました。食べるものもなく、水もなく、三日三晩肉体的苦痛の中にいました。その時に肉体から意識を解放しようと懸命に努力をしました。このことが肉体から意識を解放する能力を今世で持つ基礎になったと言っています。前世での経験が今に生きているということです。また現世は一種の修行であるといいます。「自分は特別な能力を身につけてこの世にやってきた。この世で自己を捨てて人類に奉仕をするという機会を与えられた。これは今世での修行である」と言い、「過去世の罪障消滅である」とも言っています。

 ケイシーの時代に、ニューヨークで有名な人気作曲家がいました。この人が「前世のことを見てほしい」と言って、ケイシーが催眠状態に入りました。ケイシーは「あなたの一番近い前世では、ニューヨークで音楽の先生をしていました。それより前は、ドイツで楽器職人をしていました。もっと以前の前世では、カルディアという国でネブカドネザル王の宮廷道化師をしていました。その前はアトランティス人で、エジプトに行き、神殿の楽士でした。そういうようなことが生かされて、今世で音楽家として成功しているのです。あなたの話が、非常にユーモアがあって人に好かれるのは宮廷道化師だったことが生かされているのです」と言いました。
 転職の相談を受けた時にはケイシーはよく次のように言ったそうです。
「前世であなたが直さなければならなかった性格や、変えなければならない運命を、今世でその困難な仕事を克服することによって成しとげていくのです。これは学びです。だから今の仕事が嫌だからと言って、簡単に転職してはいけません」
 つまり、今世は修行だということです。

ケイシーは過去世のことがわかる理由を説明しています。
「私は依頼者の無意識の心の中に入っていける。だからその人の過去の情報がすべてわかる。またアカシックレコードというものが宇宙にはある。ここには宇宙が始まって以来のすべての情報がある。そこに接触すると、あらゆる情報がわかる。目が覚めている時は何もわからないけれども、催眠状態になると、そのアカシックレコードに接触していろいろな情報を手にいれることができる」

 また、ケイシーはこんなことも言っています。
 「人間の苦しみ、悲しみには必ず原因がある。人はまいた通りのものを刈り取るのだ。だから原因が消滅すれば、必ず病気も治り、運命も変わっていくのだ」
 仏教の因果の二法そのものだと思います。
 最後に、ケイシーが常に言っていたことは、「他人に対する奉仕は、神への最高の奉仕である」ということでした。
 ある時、多面的な才能を持った13歳の少年がケイシーに聞いてきました。
「将来どういう職業を選んだらいいですか。僕は大人になって経済的に一番成功するには、僕のどの素質に従ったらよいでしょうか」
 ケイシーは次のように答えました。
「経済面のことは忘れて、世界を住み良いところにするために、一番役立つ方法は何であるかを考えなさい。単に報酬目当てのことは、決してしてはなりません。金銭上の利益は、その人が自分の才能を人のためになる方面へ使えば、結果として必ず得られるものです」
 また、ある貿易商にはこう勧告しました。
「人々への奉仕をモットーにしなさい。あなたと縁のある人々が、あなたによって利益を受けるようにして、決して彼らを踏み石として利用するようなことがあってはいけません」
 ケイシーの人生哲学は、法華経の教えに通ずるのではないかと私は思いました。
 最後に、ケイシーはこの世を修行の場であると言っていますが、杉山先生も『人界は保釈』というご法話で次のように言っておられます。
「保釈出獄者は謹慎して、行いを正しくせねばならぬのであります。保釈にて人界に生を受けたる者も、自分の保釈なる所以を悟り、行いを慎み、善根功徳を積めば、必ず罪業は次第に消滅して青天白日となり、幸福が来るのであります」
「皆さん、我が身の保釈なることを悟られ、油断をせず、妙法の修養に努力してください。必ず世間の大難をも救うことができます。この悟りこそ、実に一生の幸・不幸の分岐点であります。これを悟りてこそ、尊き人生を全く有意義に暮らすことができるのであります」