考えを変えることで人生は善くも悪くもなります

掲載日:2015年5月1日(金)

物の見方、考え方 見方によって違いが

インターネットを見ていましたら、犬の介護で仕事を辞めたり、転職したりする人がいるというニュースがありました。最近は人間と同じで、犬も長生きになって、癌になったり認知症になったりするそうです。どうしても面倒が見られない人は施設に預けるのだそうです。人間と同じです。

世の中変わってきたものだと思います。しかし犬を家族同様に思っている人は〝介護をするのは当然だ〟となるのでしょう。

物の見方は人それぞれ違います。犬を飼っていない人にとっては〝犬の介護か〟と思うのでしょうが、犬を飼っている人にとっては〝当然のこと〟となるのです。世の中は人によって見え方が違います。

物事には、いろいろな見え方があるようです。例えば「1+1=2」は変わらない法則のように思えますが、エジソンのような天才はそう見ないのです。

小学校の時に先生が「1+1=2です」と言うとエジソンが「先生、違いますよ」と言ったそうです。二つの粘土をぱっとくっつけて「一足す一は一にもなります」と言ったのです。そういったことが重なり、ついに先生から「エジソン君、君は邪魔になるからもう来ないでくれ」と言われ、学校を追放になってしまいました。しかしお母さんが偉い人で、一生懸命教え、かわいがって、エジソンを天才発明家にしたのです。

デンマークの首都・コペンハーゲンにある大学の物理学の試験で「気圧計を一台使って高層ビルの高さを算出する方法を説明せよ」という問題が出ました。大学の物理の試験らしい問題です。先生達は一つの答え、つまり「ビルの屋上と地上の気圧をそれぞれ計り、ミリバールという単位をセンチメートルに換算してビルの高さを出す」という答えを期待していたのですが、一人の学生が「気圧計に長い紐を結び付けて高層ビルの屋上から地上に垂らし、その紐の長さを測ればいい」と答えました。その答えをみた先生は「バカなことを。頓智じゃないんだ」と〇点にしてしまいました。

するとその学生は「先生はおかしい。僕の答えも一つの回答として正しいのではないか」と、文句を言ってきました。そして先生達が集まって面接をすることになりました。そこでその学生が「方法は他にもいろいろ考えられる。僕は一番簡単でいい方法を答案に書いたんだ」と言いました。そして「屋上から気圧計を落として地面に達するまでの時間を計る」とか、「晴れた日に、気圧計の長さと、気圧計を地面に置いた時の影の長さを測る。次に高層ビルの影の長さを測れば、比例の計算でわかる」とも言いました。

他にも、いくつかの答えを提示したこの学生は、最後にこう言ったのです。

「単に、オーソドックスな解答を、というのであれば、この気圧計で屋上と地上の気圧を計って、ミリバールの差をセンチに換算すればいい。でも僕達は常に自由な発想をして科学に取り組むようにと指導されています。そう考えると、一番いい方法は、ビルの管理人に『この気圧計をプレゼントするから、ビルの高さを教えて下さい』と言うことでしょうね」

なかなか痛快な話です。先生達が一本とられた感じです。

この学生こそが、後にデンマーク人として初のノーベル物理学賞を受賞したニールス・ボアその人です。やはり天才と言われる人は、物の見方が一面的ではないのです。

日本一の投資家で日本のウォーレン・バフェットと言われている竹田和平さんは「投資で成功し、幸せになろうと思うならとにかく人を喜ばせなければいけない。また、人のことを喜ばなければいけない、自分のことは二の次、三の次だ」と言われています。その竹田さんに、本田晃一さんという人が弟子入りをしました。そして、竹田さんの行動をつぶさに観察して本にしました。

その中に、竹田さんとうどん屋さんに行った時のことが書いてありました。

竹田さんが「ここのうどんはおいしいよ。それにおにぎりもおいしいんだ。うどんとおにぎりを一緒に頼むといいよ」と言うので、うどんとおにぎりを注文すると、「今日はおにぎりは売り切れてありません」と言われました。そこで、普通の人は「ああ、残念だ」と思いますが、竹田さんは「良かったなぁ。おにぎりがなくなったということは、今日このお店は商売繁盛、満員御礼だったということだ。めでたいめでたい」と言って、自分のことのように喜びながらうどんだけを食べたそうです。

「こういう物の見方をしないといけないな」と本田さんは思ったそうです。

近鉄電車の七代目の社長・佐伯勇さんは「よく『果報は寝て待て』と言うが、果報は寝て待てではなく『果報は練って待てだ』。そこに成功への道が開ける」と言われました。つまり、〝絶えず考えて、自分の考えを練っているとどんなこともチャンスに変わる〟ということです。

昭和三十四年、伊勢湾台風がありました。あの時、近鉄名古屋線は壊滅的な被害を受け、営業ができなくなりました。普通の人だったら「自然災害だから仕方がない」と諦めるのでしょうが、佐伯さんは「これはチャンスだ。これまでは、走っている電車を止めてまで、新しいことがなかなかできなかった。これを機会に名古屋から大阪までの沿線を全部作ってしまおう」と考え、実行されました。

物の見方によっては災難も好機に変わるのです。物事には、人間にも長所と短所があるように、必ず明るい見方と暗い見方があるのです。

経営の神様・松下幸之助さんはいつも、物事を明るい方面から見ていらっしゃった方です。有名な話ですが、松下さんの子どもの頃、お父さんが米相場に手を出して、裕福な家庭でしたが全財産をなくしてしまいました。そこで小学校を中退になり、大阪の火鉢問屋に奉公に出されました。十人の家族がいましたが、一家は離散してほとんどの人が肺結核で亡くなってしまいました。松下さん自身も、二十歳の時に肺尖カタルという病気にかかって生涯、身体が弱かったそうです。

娘さんの話では、その影響で冬場はほとんど寝ていて、病床から指示を出していたそうです。そんな松下さんですが、周りの人にいつも「私は運がいい。小学校中退だったから運が良かった。もし大学にでも行っていたら、分からないことを他人に尋ねることができなかったろう。行ってなかったから分からないのがあたりまえで、人にどんどん聞けた」と言っていました。そして、その後には「衆知経営」と言って「いろいろな人の知恵を集めて経営をすることがあたりまえにできたから運が良かった」と言われています。

また、身体が弱かったことについても「運が良かった。病気で寝ているのだから仕事ができない。だから思いきり人に仕事を任せることができた。それで会社がどんどん大きくなった。とにかくツイていることばかりだった」とも言われています。

松下さんは、事業を始める前に大阪のセメント会社でアルバイトをしていました。そのセメント会社まで小さな蒸気船で運ばれて行って、仕事をするのですが、蒸気船に乗っている時、横を歩いている人がつまづいて海に落ちそうになったことがありました。その時、松下さんにつかまったので松下さんも一緒に海に落ちてしまいました。普通の人なら「ツイてないな」と言うところを「ツイてた。あれが冬の海だったら死んでいた。夏で良かった。私はろくに泳げないけれども、すぐに船がもどって来てくれた。本当にツイていた」と言われたそうです。

有名な二股ソケットを作り、自転車の荷台に載せて問屋さんに持って行く時、路面電車の線路にタイヤがはまって倒れてしまったことがありました。積んでいた荷が散乱して全部割れてしまいました。そこに電車が来ました。そして、松下さんの直前で止まりました。周りの人が「ツイてませんね」と言いましたが、松下さんは「ひかれなくてツイていた」と言われたのです。

このように松下さんは「とにかく、物事を明るい面から見ることが大事だ」と言い、「運を持っている人、プラス思考の人は明るさがある。この明るさがまた運を呼ぶ。マイナス思考の人は不運を呼び込む。だから、物事は明るい方面から見た方がいい。自然に運がやってくるんだ」と教えられています。

どんなことでもプラスの見方とマイナスの見方があります。松下さんのようにプラスの方面から見る努力をするべきだと思います。

   「オーラ」のこと

最後にオーラの話をしたいと思います。

広大な宇宙の中で一番美しい星は地球だと言われています。宇宙飛行士達は口をそろえて宇宙から見た光り輝く、地球の美しさを語っています。何が地球をそんなに美しく輝かせているのでしょうか。それは地球に住む生命体のオーラなのです。その中で一番強いオーラを発するのが人間だそうです。そして、物事をプラスに考えている人のオーラは明るくて強く、物事をマイナスに考えている人のオーラは弱くて暗いのだそうです。

しかし、簡単にオーラを明るく強くする方法があるのです。マザーテレサが言っています。「ニコッと微笑んで、ありがとうと言うとその人は光り輝き出すのです」

マザーテレサは、光る人を実際に物理的現象として何度も見ていると言っています。

最高の物の見方は、自分に起こることをすべて、感謝の心で見るということではないでしょうか。