プラス思考
「プラス思考」「マイナス思考」ということがよく言われますが、世の中には同じ物事を見ても楽観的に見る人もいれば、悲観的に見る人もいます。先代の日達上人は、常に楽観的に物事を見、判断される方でした。
日達上人のように、楽観的に物事を見られる人は得だと思います。病気にもなりにくく、人間関係も上手くゆくに違いありません。他方、悲観的に物事を見てしまう人は病気にもなりやすく、人間関係も上手くゆきにくいものです。かと言って、そういう人にいくら「楽観的に」と言っても、そう簡単に変われるものではありません。しかし、究極のプラス思考はどんな人にでもできます。それは感謝することです。
心の力
感謝の心で末期ガンを完治させた方をご紹介します。
『遺伝子スイッチ・オンの奇跡〜「ありがとう」を十万回唱えたらガンが消えました!』という本を出版された工藤房美さんです。
工藤さんは四十八歳の時にガンが見つかりました。旦那さんはそれ以前からうつ病で、仕事もできず、家を飛び出すこともあったそうです。そこで家族を支えるため、工藤さんが働き、心身ともにストレスを抱えていました。
ある日、職場で鼻血が出て止まらなくなりました。周りの人が心配して救急車を呼び、大きな病院で精密検査をしてみると子宮ガンだとわかったのです。その時、医師に「なんでこんなになるまでほっといたんだ」と怒鳴られたそうです。
すぐに手術をすることになりましたが、もしかしたら死ぬかもしれないと思い、三人の息子さんに遺言を残しました。長男には「あなたを誇りに思う。これからも堂々と自分の好きなことをやりなさい。病気になってごめんね。大好きだよ」と書き、次男には「楽しいことを見つけることが得意だから、好きなことを見つけて楽しんで生きて下さい」、小学生の三男には「大変な時は我慢しないで周りの大人に助けてもらいなさい。お兄ちゃん達と三人で協力したら何でもできるよ」そして最後に「愛してる。あなた達の母親になれてよかった。あなた達をいつまでも愛してる」と書き残し、手術の前に息子さん達に渡しました。いよいよ手術の日が来ましたが、その直前に主治医がやってきて「残念です。私の腕がふるえなくて残念です。あなたのガンは広がりすぎていて、取り除こうとしても他の臓器を傷つけてしまう可能性が高いので手術はできません」と断られてしまいました。しかし、出血を止めるために普通の放射線治療を三十回程行ないました。その上で、「ラルス」という治療法を試みました。それはものすごく過酷な治療法です。
一回目の治療の時、看護師さんが「タオルを持っていてくださいね」と言ったそうです。口に咥えて痛みに耐えるためです。そして「これから痛くて苦しい治療をします。痛み止めなどは一切使いません。なぜなら、痛み止めや麻酔を使うと、先生がずっとあなたのそばについていなければならないからです。先生はあなたのそばについていてあげられません。ですから、あなたの口にタオルを入れます。耐えてもらうしかありません。この台の上であなたは一ミリも動くことができません。ですから、あなたの体をこの台に固定します。その器具をつける作業に一時間かかります。その後、治療に一時間。器具を外すのにまた一時間かかります」と言われ、体をグルグル巻きに固定され、口にタオルを押し込まれた時には、逃げだしたいと心底思ったそうです。しかし、されるがまま、子宮に直接の放射線治療が始まりました。
工藤さんの言葉です。
「もう痛いなんてもんじゃない。苦しいなんてもんじゃない。始まると同時に悲鳴を上げたが、タオルのせいで声にならない。誰に届くこともない悲鳴を上げ続け、あふれる涙を拭うこともできなかった。これは治療ではなく拷問だ」
そんな想像を絶するような治療を、合計三回行なわなければなりません。
二回目の治療の前日に三男の小学校の先生から『生命の暗号』という本が届きました。筑波大学の村上和雄先生が書かれた本です。村上先生は遺伝子研究をされている日本の第一人者です。
その本には「人間の細胞は、体重が六十キロあれば六十兆個ある。その一つひとつに遺伝子がある。遺伝子の働きによって人間の能力や、病気になるかならないかも決まっている。ただ、遺伝子の九十五パーセントはスイッチがオフになっていて活動していない。活動しているのはたったの五パーセント。ガンという病気にも、人間をガンにする遺伝子とガンを抑制する遺伝子がある。抑制する遺伝子が働いているとガンにはならない。そのバランスは心によって決まる。プラス思考の人は抑制遺伝子がよく働いてガンになりにくい。マイナス思考の人は働きが逆になる。究極のプラス思考は前向きな心で感謝すること。また、ノーベル賞クラスの学者が束になってかかっても大腸菌一つ作れない。命を作り出すことは到底できない。さらに最初の生命が誕生する確率は一億円の宝くじが百万回連続で当たる確率とほぼ同じ」と書かれていました。
工藤さんはそれを読み、“とんでもなく貴重な命を頂いているんだ”と知り、“ありがたくてしかたがない”と思えてきました。そして、活動していない九十五パーセントの良い遺伝子を目覚めさせようと決心すると、それからガンになっていない目・耳・手・足などあらゆる場所に“ありがとう”と言い続けました。そして「ガンになった細胞だってこれまで私を支えてくれていたのは同じことだ。ガンなんかになりたくはなかっただろう。ガン細胞になってまで私になにかを気づかせようとしてくれた、その細胞にも、健気さに心から『愛おしい』と思い、本当にごめんなさい。ありがとう」と、一晩中休むことなく“ありがとう”を言い続けた後、二回目の過酷なラルスの治療を受けました。すると、痛みも苦しみもまったくなかったのです。
三回目も、痛みも苦しみも感じませんでした。その後、検査を受けて結果を待っていると主治医から「工藤さん、ガンが消えているよ」と報告がありました。しかし他の部分を調べてみると、肺と肝臓に転移していました。肺ガンは肺全体にあり、肝臓ガンは拳ほどの大きさのものがありました。生きているのが不思議なくらいで、このままだと余命一か月という状態でした。治る確率は一パーセントしかないと告げられましたが、そんな時でも入院すると工藤さんは、得意な裁縫でかわいらしい帽子を作って、抗ガン剤で髪の毛の抜けた人達に配りました。
抗ガン剤の影響で工藤さん自身も髪の毛がたくさん抜けましたが、その毛を集めて一本一本に“ありがとう”と言いました。“ありがとう”と言い続けていると、ありがたさが体の中に充満してくるのがわかり、涙が止まらなかったそうです。今生かされていることが“とにかくありがたい”と思えたのです。
“ありがとう”の生活を続けた数か月後、検査をするとガンがすべて消えていました。主治医は「こんなことはありえない。こんな症例は見たことがない」と驚いて言ったそうです。
その後、工藤さんはカレー屋さんを始めましたが、工藤さんの話を聞きたいと大勢のガン患者さんが訪れるそうです。そして、話を聞いて実践した多くの人が、工藤さんのようにガンが消えたそうです。
良くならなかった人もあったようですが、工藤さんの話を聞いて良くなる人と良くならない人、それぞれに特徴がありました。良くなった人はみんな素直な人でした。“ありがとうと言いましょう”という話を聞いて「はい、わかりました。ありがとうと言います」と言って実践したのです。反対に「もう十分感謝なんかしているから、これ以上ありがとうを言う必要はない」「感謝は十分してるけど、どうしても許せない人がいる」「感謝なんてとてもできない。どうして私だけがこんな病気になるんだ」という人は良くならないそうです。
本の最後に「プラス思考で病気に打ち勝ち、幸せに暮らす秘訣が七つある」と工藤さんは記されています。
一、感謝をする。
二、どんな時も明るく前向きに考える。
三、思い切って今の環境を変えてみる。
四、人との出会いを大切にする。
五、感動する。
六、世のため、人のためになることを考えて生きる。
七、先のことを心配せず、今与えられた仕事に一生懸命になる。
感謝の心は間違いなく運命を変えます。